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【開催報告】「日本創生に向けた人口戦略フォーラム in こうち」

  • イベント
2026.03.02

1月16日、「高知から始まる未来へのチャレンジ!日本創生の第一歩。」と題して、「日本創生に向けた人口戦略フォーラム ㏌ こうち」が高知市内で開催されました。
フォーラムでは、関係人口や働き方改革など人口減少対策を多角的に議論。
「四国ブロックから日本創生に向けた人口減少問題を克服するための国民的運動をさらに進めていく」とする「こうち宣言」を採択しました。


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日本創生に向けた人口戦略フォーラム in こうち

「生まれ変わる勇気」を

「日本創生に向けた人口戦略フォーラム」は、2024年11月(鳥取市)、2025年1月(仙台市)、同年11月(甲府市)、同年12月(長崎市)に続いて5回目の開催となります。

冒頭、フォーラム実行委員長の濵田省司・高知県知事があいさつしました。
濵田知事は、人口減少問題について「日本社会全体の大きな課題」と指摘。
「特に地方においては若者・女性に選ばれる地方をつくっていくことが必要不可欠。そのためには様々な分野で新しい社会を創造していくことが肝要であり、官民一丸となって『生まれ変わる勇気』をもって臨んでいかなければならない」と呼びかけました。

続いて、未来を選択する会議共同代表(議長)の三村明夫氏(日本製鉄名誉会長)があいさつしました。
三村氏は、「行動如何で未来は変えられる」との認識の下、「未来を選択する会議」が2025年10月27日に発足したことを紹介。
「希望するすべての人が安心して結婚し、子どもを持ち育てられる社会を実現するのが目標」と説明しました。
その上で、これまでの人口減少対策の反省点として危機意識の共有不足や若い世代へのアピール不足などを挙げ、「人口減少のスピードを緩め、少ない人口でも社会が活性化するために生産性向上などあらゆる手を打つのが今に生きる我々の責任だ」と訴えました。

これまでのフォーラム開催地の鳥取県・平井伸治知事(未来を選択する会議共同代表)と、宮城県・村井嘉浩知事もあいさつしました。
平井知事は、地域に持続可能なシステムをつくり、「人口減少に歯止めをかけ、希望が持てるように」と呼びかけました。
村井知事は、人口減少問題への意識の共有化を強調し、「宮城県も全力で立ち向かう」と決意を述べました。

そして、高市早苗首相もメッセージを寄せました。
政府として2025年11月18日に人口戦略本部を設置し、人口減少対策を総合的に推進する決意を示し、「本フォーラムをはじめとする地方・民間の取り組みとも連携していく」としました。

フォーラムでは、
基調講演:関係人口がつくる、都市と地方が共生する未来
パネルディスカッション①:四国各県知事らによる「人口減少問題に地方が果たす役割」
若者セッション 事例発表:「私たちの挑戦」
パネルディスカッション②:企業経営者らによる「共働き・共育てで多様な人材が輝く」
を開催。人口減少対策について多角的に議論を深めました。

思考や社会の仕組みの変換を
基調講演「関係人口がつくる、都市と地方が共生する未来」

基調講演では、「関係人口」の提唱者である雨風太陽代表取締役社長の高橋博之氏が「関係人口がつくる、都市と地方が共生する未来」と題して講演を行いました。
高橋氏は、高度経済成長期の思考や社会の仕組みを変える必要性を強調。
ふるさと住民登録制度や副業の推進など「大きく変えるのがこれからの10年」と訴えました。

生産性・幸福度高く、寛容な地方に
パネルディスカッション①「人口減少問題に地方が果たす役割」

パネルディスカッション①では、四国ブロック4県の知事(後藤田正純・徳島県知事と中村時広・愛媛県知事はビデオ出演)、城内実・全世代型社会保障改革担当大臣、基調講演を行った高橋博之氏がパネリストとして登壇しました。
コーディネーターは、未来を選択する会議共同代表/野村総合研究所顧問の増田寛也氏が務めました。

発言要旨

最初に、濵田省司・高知県知事が発言しました。
高知県では2024年3月に「元気な未来創造戦略」を策定。
若年人口の減少傾向に2027年までに歯止めをかけ、2033年頃には2022年の水準まで回復させることを目指しています。
そのために、男性育休の取得促進を原動力に、「共働き・共育て」の県民運動を展開していることを紹介しました。
一方で濵田知事は、人口減少への「適応策」の必要性を指摘。
高知県で“賢く縮む”4Sプロジェクト(4Sは「集合」「伸長」「縮小」「創造)を推進していると述べました。

香川県の池田豊人知事は、地方においては若年層の転出超過数が増加し、「この状況を打開しないと地方を担う人材が大幅に減少する。以前より、定住対策の緊急性が格段に上がっている」と危機感を表明しました。
具体策として、大学等高等教育の受け皿の地方へのシフト、県内企業への就職促進などを挙げました。

城内大臣は、政府の日本成長戦略本部と人口戦略本部について説明しました。
人口減少対策では「女性や若者の声を取り入れる」とし、「強い経済によって人口減少はいずれ止まると信じている」と話しました。

後藤田・徳島県知事は「人口が減るのは抗えない事実。前例踏襲は怠慢であり、異次元の政策をやらなければいけない」と強調しました。
特に高付加価値人材の育成に注力し、「生産性・幸福度の高い地方を目指していきたい」と展望を語りました。

中村・愛媛県知事は、「人口減少対策に特効薬はない」と指摘。
「粘り強く対策に取り組むことが必要だ。若者や女性に選ばれる、魅力ある愛媛となるよう注力していく」と述べました。

高橋氏は、若者世代はワークライフバランスというより「ワークインライフ」であり、ウェルビーイング向上の必要性があると指摘しました。
キーワードとして「寛容」を挙げ、出生率が高い沖縄を例に「地域を寛容にする」ことを提唱しました。

東京一極集中問題について、城内大臣は「過度な人口集中は、地域のコミュニティ維持に大きな影響を与えている」とし、その是正策の必要性に言及しました。

人口減少対策における国の役割について、濵田知事は「大学と企業の地方分散を図ってほしい。地方は高付加価値の産業づくりを行う」と語りました。
池田知事も「(企業の)本社の地方移転」を求めました。
高橋氏は「食料をはじめ地方がなくては日本の未来はない。都市の人は地方にコミットしてほしい」と話しました。

地域活動する村民に憧れ移住
若者セッション 事例発表「私たちの挑戦」

若者セッション(事例発表)「私たちの挑戦」では、高知にゆかりのある若者たちが事例を発表しました。

発言要旨

最初は、県内の二人の高校生が「高校生地域創生士プロジェクト」について発表しました。
「高校生地域創生士プロジェクト」では、「高校生にしかできない地域貢献」をテーマに、商品開発やマルシェ出店、地域連携の企画などの活動を展開。
試行錯誤の中で成長を実感し、「高知には高校生にとって様々な可能性と成長できるチャンスがある」と手応えを話しました。

続いて、パリパラリンピック代表(カヌー)/世界パラ陸上競技選手権大会代表(やり投げ)の小松沙季氏が登壇しました。
小松氏は四万十市出身のパラアスリートです。
特に若者に向けて「広くいろいろな世界を見てほしい。実際に足を運んで、触れて、見て、生きた体験をする。そして自分の人生を豊かにする選択を目指す」と呼びかけました。
さらに「『自分が好きでやっていること』が最終的に高知につながる形は最強」「高知を日本一バリアフリーな街に」と語りました。

3番目は、高知県青年団協議会会長の林田翔平氏が発表しました。
同協議会では県内12団体約200人の若者が地域行事・交流活動・青少年育成に取り組んでいます。
目的は「地域のために・自分のために」。
林田氏は「地域でもまれる中で心を豊かにできるし、地域への思いが高まる」と活動の効果を話しました。

最後の発表者は、nosson代表理事の小野加央里氏です。
小野氏は2017年に日高村へ移住。
地域おこし協力隊を経て、仁淀川流域を応援する中間支援団体nossonを設立しました。
村役場と連携し、関係人口創出事業「いきつけいなか」、誰もがいきいきする社会を目指す「いきいきソーシャルアクションプログラム」などに取り組んでいます。
自然や食の豊かさではなく、「地域のために活動する日高村民に憧れて移住した」と小野氏。
「地域の中から活動を盛り上げていけば、高知の関係人口も増えてくると思う」と話しました。

企業の中にロールモデルを
パネルディスカッション② 共働き・共育てで多様な人材が輝く

パネルディスカッション②では、栄光工業代表取締役社長の伊藤ちひろ氏、Practice代表取締役社長の柳原伊吹氏、地方女子プロジェクト代表(未来を選択する会議 未来に向けた対話チーム)の山本蓮氏がパネリストとして登壇しました。
コーディネーターは、のいち社会保険労務士事務所代表の白石瑤子氏、進行は高知放送アナウンサーの井上琢己氏が務めました。

発言要旨

伊藤氏は2024年、事業承継で2代目社長に就任しました。
220人の社員(18歳から79歳が在籍)のうち20%はU・Iターン、14%は技能実習生です。
その多様な視点で「ユニークな陸の孤島・高知で永く幸せに働ける企業を目指している」といいます。
女性活躍については、管理職のイメージがわかない社員のためにチーフという階層を新設。
「現在チーフ6人のうち2人は女性、1人はベトナム人。将来、多様性のある幹部(社員)となることを期待している」と語りました。

柳原氏は2024年、学生のキャリア開発と採用課題解決を目的として長期インターンシップの企画・伴走支援を行うPracticeを創業しました。
多くの学生と接してきた柳原氏は、「地元に残りたい学生は多いが、働く場が見えていない」と指摘。
企業側に積極的な情報発信を求めました。

山本氏は、20~30歳代の女性が、仕事と家庭の両立に悩んでいることを説明しました。

男性育休の社会的価値や意義を伝えている白石氏は、企業の中にロールモデルが少ないことを課題として指摘しました。
「(就職希望者は)そこでキャリアプランを描けるのかを(会社側に)聞きたい」と話しました。
こうした指摘を受け、伊藤氏は昨年、売上高「100億宣言」を行ったことを披露。
「地方にこそ中堅企業が必要だ。宣言したことで10年後の(成長の)ストーリーを創り始めることができた」と語りました。

「元気な未来の創造」へ、地方から挑戦

フォーラムでは最後に、「日本創生に向けた『こうち宣言』~元気な未来の創造に向けた、地方からの挑戦~」を参加者全員で採択しました。
宣言では、
「将来を担う若者がいきいきと住み続けられる元気な地方の実現」
「若者・女性にも選ばれる魅力ある地域社会の構築」
「人口減少問題を一人ひとりが自分事として考え、行動し、日本創生の実現に向けて挑戦」
の三つを柱に、「四国ブロックから、日本を変えることを誓い、日本創生に向けた人口減少問題を克服するための国民的運動をさらに進めていく」としています。